廃虚

Twitterやってます @ball_g_angel

自分が正しい!遊戯王VRAINS 91話 『誇り高き乙女』 感想

これは……ハートアースドラゴンの時に見た!

感想

 

今回の遊戯王VRAINSはブルーメイデンとボーマンの決闘の続きでした。バブルボムのバーン効果でボーマンのライフを削りきる事に失敗したメイデンに対してボーマンは同じ属性のモンスター4体をリンク素材とする《テッセラクト・ハイドライブ・モナーク》をリンク召喚します。このモンスターは

  • 自分と同じ属性を持つ相手モンスターの効果を無効にする
  • 攻撃時に自信と同じ属性を持つ相手モンスターを墓地に送り再攻撃する

効果を持っていました。

ブルーメイデンは罠の効果で自分のリンクモンスターを全て除外する事でこの追撃を防ぎます。(ちなみにクリスタルハートの効果耐性はEXゾーンに存在する時のみなので、クリスタルハートの効果も無効になる

 

その後メイデンはリンク4を特殊召喚し、フィールド魔法《バトルオーシャン》の効果で効果耐性を与えた上でデスラプトを破壊しますが、テッセラクトは蘇生され、攻撃力は2倍になり6000に。その後も抵抗しましたがメイデンは敗北しました。

 

かかわると面倒くさい人 日経プレミアシリーズ

かかわると面倒くさい人 日経プレミアシリーズ

 

 

 そういう訳で今回はボーマンの初勝利となった訳ですが、ボーマンを前にブルーメイデンこと葵が立ち直ったきっかけが親友の為ではなく、自分の兄の為だった、という事もあり、自分勝手な理由で一喜一憂しており、勝手に踊っているという印象を受けました。彼女は一貫して「スペクターの考えを理解しようとせずに一方的に救うと言う」「美優の件で責任が有るとは言えないボーマンに対して高圧的な態度を取る」など独善的な態度が描写されている為、製作陣も恐らくそういうキャラクターとして考えているのだとは思います。今後蘇ったらどういう風に着地していくのでしょうか。

 

次回はPlaymakerと謎の人物との悲運の再会が起きるようです。とうとう92話ですね♪

 

 

 

 

~信じたものは救われる~『遊戯王ZEXAL』感想

遊戯王OCG20周年を迎えていたようですね。(ここぞとばかりにアピール)

 

折角なので自分も何かやろうと思った結果まだ当ブログでしっかり「遊戯王ZEXAL」については触れていないと思い、自分の意見を纏めてみる事にしました。

 

 https://www.tv-tokyo.co.jp/anime/yugioh-zexal/sp/

 

 当作品はシリーズ4作目として2011年4月から放送され、主人公の九十九遊馬と謎の生命体アストラルが【No.】というエクシーズモンスターを集めていく……という事で始まりました。シリーズの中でも最もオカルト色の強い作品であり、肉体と精神の2元論を意識していると思われるアストラル世界とバリアン世界、そしてオーバーレイユニットと呼ばれるエクシーズ素材と、無機物からモンスターの姿に変形していくNo.として現れているのかと思います。

 

そんな本作ですが、個人的には遊戯王シリーズの中で最も疑問符が付く作品です。これには主に2つの理由があります。

 

1. 「カードゲーム」定義の独走

 

ZEXALは初期から「初心者向け」という方向性が打ち出されており、当初はフィールド全体のカードを俯瞰して見せたり、ルールの解説をしたりするなど丁寧で、とても良い方向に動いていたと思います。しかし途中から

  • オリハルコン・チェーン》や《トライアングル・イヴォルヴ》などのエクシーズ召喚の素材を踏み倒すカードの濫用
  • キャラクターの使うテーマデッキが殆ど「モンスターを並べてエクシーズ召喚を行い、それを装備魔法で強化したり罠で守る」デザインがなされており、デュエル展開に個性が欠けていた
  • シャイニングドローという使用者が恣意的にドローするデッキのカードを変更する行為を主人公が乱発している

 

 これらが目立つようになっていき、最終的にはカードゲームではなく召喚獣プロレスへ刷り変わってしまいました。

3つ目のシャイニングドローに関しては

「特別な相手にしか使っていない」

「カードゲーム作品での御都合主義をシステムとして可視化したに過ぎない」という意見をよく目にします。これらに対して私は「特別な相手だからといってキースのようにデッキトップのカードを摩り替えるイカサマを認めるべきではない」と思っています。付け加えておくならば、私はデッキ外から直接カードを加えるアプローチとしてセイヴァードラゴンもAカードもストームアクセスも好んでおりません。

 

2 キャラクターの排外的思想

 

 この作品の主人公である九十九遊馬は自身を裏切ったベクター達に対しても救いの手を差し伸べた事が原因として多数の視聴者から「菩薩」「遊馬先生」と呼ばれています。

 しかし、本当に彼はそう呼ばれるに足りる人物なのか私は疑問に感じています。何故なら、先生が救おうとしたのは自分が身内だと感じている存在だけだからです。

 「諦めなければ誰とでもわかり会える」と口では言っていましたが、元々はアストラル世界から追放された被害者とも言えるドン・サウザンドに対しては最初から倒す気満々の姿勢を見せており(126話)、結局最後まで彼とわかり合おうとする努力は見せませんでした。

 私は学級会は現実から乖離したべき論に終始してしまうので好きではありません。そして、コミュニティの平和を保つ為に、その平和を壊す存在を排除する必要性は肯定しています。しかし正直この「身内だけ無事ならば他の人間からはあらゆる権利を奪おうが知ったことではない」という先生の態度は諸手を挙げて賛成できるものではありません。ある意味ドン・サウザンドは『平和』の為に犠牲になった殉教者です。同様の理由でアークファイブの主人公遊矢がダブルスタンダードであるとよく避難されますが、その時に同じような行動を見せた先生を菩薩と呼んで持ち上げられる理由が私には全く理解できません。

 こういう内向きな考え方は原作にも見られたとは思いますが、ZEXAL以降の遊戯王シリーズで極端化したように感じられます。余所者は殺せ。まるで彼らは劇場版遊戯王のプラナのようです。

 

 以上のように述べましたが、私は序盤のZEXALにはテンポこそ悪いものの丁寧に話を進めつつ、カードアニメをやろうという姿勢を感じていました。10話~12話のシャーク周辺のエピソードは私も好きです。最初に挙げたオカルト要素の濃さも相まって、元々持っていたポテンシャルを生かし切れなかった事が残念で仕方ありません。CXやオーバーハンドレッドナンバーズなどを出しておきながら、結局No.が50半分近くしか出ずに、KONAMIに尻拭いをさせた事には最早何も言うべき言葉が見付かりません。敢えて言うならばこれらのカードを正規No.として出しておけばもう少し数を埋める事が出来たのかな、とは思います。

 

 

 

 

知るかボケ、としか言いようが無いです 遊戯王VRAINS 90話 『次世代の創造主』感想

 

 感想

 今回はボーマンとブルーメイデンの決闘でした。手札を消費せずマリンセス・シーフォースの効果とリンクモンスターの効果を使いリンク3まで繋げたブルーメイデンに対して、1ターンで《クーラント・ハイドライブ》を3体並べ、同種族リンクモンスターを素材条件とするリンク3モンスター《キュービック・ハイドライブ・ロード》?を特殊召喚。その効果で水と炎の属性を得てマリンセスモンスターの効果を封じますが、ブルーメイデンはトラップカード《マリンセス・スノー》を発動し、破壊されたリンク3よりマーカーの少ない《クリスタルハート》を召喚条件を無視して特殊召喚し、効果を受けない効果と戦闘ダメージを0にする効果で敗北を防ぎました。ちなみに「既に効果を無効にする永続効果を持ったカードが場にある時に効果耐性を持ったモンスターが召喚された」場合の処理は不鮮明です。

ブルーメイデンは永続魔法《バブルボム》でクリスタルハートのリンク先にモンスターが特殊召喚される度にマーカー数×500ダメージが与えて勝負を決めようとしますが、果たしてどうなるか。

 

 

「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義

「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義

 

 

 今回は親友であった美優を取り戻そうといきり立っているブルーメイデンと、ある意味無関係とも言えるボーマンという構図でした。怒りからかイグニスという存在に対して疑問を持っていたにも関わらずボーマンに対しても攻撃的になるブルーメイデン。ロスト事件を直接的に引き起こした鴻上一派に対して彼女がどう思っているかも疑問です。私個人としてはライトニングに対してあれほど怒るのならばリボルバーに対してもそれ以上の感情を持っていてもおかしくは無いと思うのですが……。

 

弟設定あった?
シーフォース リンクブルースラック サルベss アネモネリンクブルースラック蘇生マーブルリンク1枚セット

ブースターssクーラントリンクブースターnsクーラントリンクジャッジメント発動ブースターnsクーラントリンク
3体リンクキュービックロード
水炎属性を得る 同じモンスター効果を無効に
戦闘破壊時再度攻撃 マリンセススノー召喚条件無視クリスタルハートss
効果封殺(?)破壊されずダメージも0
1枚セット
永続バブルボム発動
リンク先に召喚される度リンクマーカかけ500ダメ
シーフォースss
発動ターン中リンクマーカーの数だけ

123… 遊戯王VRAINS 89話 『重なる二つの火』感想

デュエル

今回はSoulburnerとウィンディの決闘の続きでした。場ががら空きになったソウルバーナーは手札の装備魔法を連発し《転生炎獣の烈爪》とスパークスでヒートライオとバハムートボマーを相打ちにさせようとしていると思わせ、バハムートボマーの効果を使わせました。さらにファルコを通常召喚し、フォウルを自身の効果で特殊召喚。ベイルリンクス、サンライトウルフをリンク召喚します。このリンク召喚の狙いは、後の魔法カードによるライフ回復とドローが主眼にありました。サンクチュアリの効果でヒートライオをリンク召喚。再び《転生炎獣の烈爪》を装備させ、同名リンクモンスターを素材とした時のモンスターへの追加攻撃効果を与えます。これで決着を付けようとしましたが、ウィンディの手札誘発モンスターに阻まれました。

バハムートボマーを蘇生させたウィンディはストームアクセスで手に入れたリンク4、バハムートボマーカスタムを出し、自分の魔法、罠ゾーンにカードが無いときに相手モンスター一体を永続魔法扱いでゾーンに移し、相手の魔法、罠ゾーン(恐らく)のカードを全て破壊します。しかしソウルバーナーは伏せていた罠と墓地のベイルリンクスの効果で敗北を防ぎます。

その後、レベル3のモンスターを2体揃えたソウルバーナーは《転生炎獣ミラージュスタリオ》をエクシーズ召喚。エクストラデッキに戻したヒートライオをリンク召喚し、ミラージュスタリオの効果でバハムートボマーをバウンスしようとしますがこれも手札誘発で無効。しかしサンクチュアリの効果でリンク召喚されたヒートライオの効果でバハムートボマーの攻撃力を下げられ、ウィンディは敗北することになりました。

感想

 不霊無とソウルバーナーは互いを疑う振りをしてウィンディを欺き、相手に自分の思い通りにゲームを進行させているプレイングをしていましたがブラッドシェパードとの決闘の時も同じような事をしていたのでそこは少しあざといな、という感じがします。また、ベイルリンクスのエクシーズ召喚は良かったのですがVRAINSのエクシーズ召喚の演出は間延びしてくどい。

 

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

 

 

 ウィンディの「人間とつるむのが鬱陶しい」という考えは作中では独り善がりで悪辣なものとして否定されましたが、私の考えとしては、イグニスは人類の後継種として生まれたはずなのにAiや不霊無、アクアが人間にとって都合の良い飼い犬となっている作中の描写を見ているとウィンディが牙を抜かれたと思うのも無理はないかと感じました。

 

 ウィンディの使用する【嵐闘機】は魔法・罠をほとんど使わない代わりに手札誘発のモンスター効果で相手の妨害を行ない、モンスター効果で相手の伏せカードを破壊していくという動きをしていくテーマだと考えられます。これは、嵐闘機モンスターが飛行機のように改造された生物のような姿をしている事や他のサイバース属をサポートする魔法・罠カードにIT用語を流用したものが多いことを考えると、モンスター(海中生物)に魔法・罠としての役割を与える為に機械を埋め込んで改造したのでは、という説が思い浮かびました。

人間を霊長の頂点に立つ傲慢な存在と批難するライトニング一派のウィンディが、人間と同じように動物の体を弄り、彼らから意思を奪う事で動物の声を聞かない、人間的イメージのカード郡を使っているというのは、やはり彼も人間の側に寄っていた、という事なのでしょうか。

 

次回は覚醒したボーマンとブルーメイデンのデュエル。ハルのハイドライブと別のデッキを使う可能性があるボーマンがどのようなデッキを使うのかに注目しましょう。

『仮面ライダービルド』何故エボルトは人間の心を手に入れる必要があったのか考察する

※当記事はネタバレを一部含んでおります

 

 仮面ライダービルド、一年間まずはお疲れ様でした。私にとっては初めて視聴する特撮作品でしたが、スーツアクターとして活躍していらっしゃる方々も含めた俳優の方々の演技は本当に素晴らしかったです。

 この作品は「科学」と「仮面ライダー」をテーマにしており、勢いを重視した展開で評価は賛否両論が別れたものだと感じています。放送終了から半年近く経って記事を書こうと思った理由は、終盤になってそれまで

  • 時に主人公である桐生戦兎を激しく叱咤激励し
  • 内海の狂乱に対し笑いを堪えきれなく、その愚かさに地球を滅ぼすのを辞めようとする

など、数多くの心の底から何処か人間に対し思い入れのあるような態度を見せていた地球外生命エボルトが唐突に「自らに人間の感情が無く、今までの行動で見せていた感情は人間を真似していた」事を明らかにした事に対し、どのような意図があったのかを考えてみたいと思ったからです。本来ならばこのタイミングで今まで見せてきた行動と矛盾するような描写を挟むことはそれらの行動をひっくり返して根本から否定するような、意味のある事ではありません。(本作にはそのような要素が散見されていたとはいえ)

 そこでこのような展開にして、制作者たちは一体何を伝えようとしたのか自分なりに咀嚼した上でちゃんと評価したいと考えたためこのような時期になりました。

 

考察

 まずエボルトは、地球外生命として数々の惑星を滅ぼしてきた種族の一員でした。火星を滅ぼした後でターゲットを地球に定め、自分の真の力を取り戻す為に地球の権力者たちの頭上にパンドラボックスという禁断の果実をぶら下げて戦争を引き起こすことにより、科学の粋たる兵器として仮面ライダーを鍛える事にした、創世記における蛇の役割を担っているとも言える存在です。その後戦争がエスカレートすることにより、戦争を始めた者、戦争責任を負う立場に在る者達は殆ど消えてしまいました。

ここからは個人的な推測になるのですが、このままでは「悪い怪人であるエボルトを倒す」事で話に幕を引くことになってしまい、戦争を引き起こした人間の罪の責任を取れるものはいなくなってしまい宙ぶらりんになる。これを良しとしなかった製作陣は、ビルドジーニアスという一人の天才が作り出した科学の結晶により人外の客人たるエボルトを「人間」に堕とし、戦争を引き起こした罪を彼に引き継がせる事で人類の罪科の禊とし、平和な新世界を作り出したものとしたのでは無いかと考えています。この仮説に基づけば、序盤でエボルトが言っていた「科学の力は考える能力を奪い全てを滅ぼす」という彼の信条通り、科学の象徴たるジーニアスがエボルトのハザードレベルを上昇させ、ロストボトルにより究極体の極地へと至らしめるという結果になっているわけです。

 

 しかし、御存じの通り最終回でエボルトは桐生戦兎と万丈龍我の力が合わさって誕生した「ラビットドラゴン」の前に破れます。これらの事象を総合して考えると、

仮面ライダービルドという作品は“人間“の科学がエボルトにさらなる力を与えたという事に対し、科学の必要性を肯定しきれずに人の絆で全てを解決させた」という感想を抱きました。繰り返しになってしまいますが、科学は人類や社会にとって本当に善いものなのかという問いから論点をずらしていたように見えたのは、正直な所残念に思えました。

 

 

 

 

共感を他人に求めてくる人は面倒 遊戯王VRAINS TURN88『リベンジャー・ウィンディ』感想

所見

今回の遊戯王VRAINSではウィンディとSoulburnerのデュエルが始まりました。これはウィンディは敗戦したリボルバーへの雪辱を果たそうとしましたがライトニングの判断により制され、標的を変えるよう促された結果に依るものでした。

 

 

 

 

 ウィンディはソウルバーナーの手札をピーピングして罠をセットさせる事により自分の場を展開させ、一ターン目でリンク3のバハムートボマーをリンク召喚します。

ソウルバーナーは《転生炎獣ベイルリンクス》,サンライトウルフ,ヒートライオとOCGでもよく見るルートを繋げベイルリンクスの効果でサーチした《転生炎獣の聖域》を用いて一気に勝負を付けようとしますがウィンディの手札誘発モンスターがリクルートしたフィールド魔法の効果によりヒートライオの効果を封じられます。そこで《転生炎獣Bバイソン》を特殊召喚させフィールド魔法タービュランスを破壊させヒートライオを再度リンク召喚しますが、再度別のフィールド魔法を発動されヒートライオの効果を封じられました。

返しのターンでソウルバーナーが場を一掃された所で話は終わります。

 

感想

今回はウィンディがソウルバーナーと不霊無を煽る事で不霊無に人間を疎ましく感じさせようとする意図が有りました。確かに「人間に産み出されたのだから自分のオリジナルとなった人間をパートナーとして扱わなければならない」という考えが鬱陶しいという言い分は最もなのですが、個人的にはウィンディもソウルバーナーも他人に自分の気持ちに対する高い共感性を求めているように感じられました。当事者からしたらどちらも面倒くさい気がするでしょう。

 

次回も決闘は続きます。次回以降もストラクに収録されていたカードが使用されると良いのですが。

 

 

どうして20周年という現象はここまで普遍的なのだろう 劇場版遊戯王『THE DARK SIDE OF DIMENTIONS』

劇場版遊戯王が上映してから早3年が経とうとしています。本作はアニメオリジナルとなった要素が大きい『遊戯王DM』の続編である遊戯王GX以降のアニメシリーズとは切り離された原作完結後の世界、という設定になっています。

 当時の自分の中では原作版遊戯王は既に完結したコンテンツであった上に、監督を担当されたのが

  • どうでも良いシーンや無駄に吹っ飛ぶシーン等で尺を稼ぐ
  • 決闘においては恣意的にデッキのカードを変えるキャラクター達の乱立
  • ストーリー面においては自分に酔った偽善者達による傷の舐め合い

という様相を呈していたZEXALの監督だった桑原智さんと発表されとどめに

海馬がバトルシティ後に海馬ランドを世界展開させる事をモクバと約束した事案よりもアテムとの決着を望んでいるらしい

というあらすじを知り、不安材料が満載で辟易気味でしたが《青眼の亜白龍》が前売り券の特典だった事もあり、結局3回観に行きました。ちなみにガンドラ2枚とガイアロードを貰っています。

 

所見

 結論から言うと本作は

100点中67点

くらいの作品だと思っています。

この作品は『人間が持つ執着心と解放』を、原作において無銘のファラオに人生を大きく変えられる事になった遊戯や海馬のその後、そしてシャーディーへの執着から彼の思想を逸脱していく藍神の3人にレンズを向けて浮かびあげようとしていました。遊戯達が仲間達との絆を重視しながらも、それが良い意味で共感性が低く、自他の違いをしっかりと線引きした上で緩く繋がっていた点は、ファラオとの別れを越えて彼らが問題なく成長できたと言える場面であるでしょう。

 海馬に対しては先述した通りファラオが自分に黒星を付けたまま(本人の中では王国編で命乞いして勝ったことはカウントされていないと類推される)冥界を去ったことが癪に障ってしまい、憎しみを捨て次のステージに進むというモクバとの約束も反故にしてしまったかのような姿には違和感を覚えてしまいました。確かに一度も勝てなかった相手に勝ち逃げされるのが認められない、と海馬が感じるのは解らなくもありません。そして劇場版を作る都合上海馬瀬人及び新しい青眼を出さなければならないという商業的な理由もあるでしょう。しかし私には、質量を捨てたカードを使い執着のみを燃料としていたこの作品の海馬瀬人を原作から連続したものとして扱う事は難しかったというのが正直な感想です。

 

 次は全体的な視点から観ていきましょう。この映画ではシャーディーがファラオ復活後に千年アイテムを使って世界を高次元に導くというものでした。ここでいう高次元とは、恐らく遊戯王ZEXALでいうアストラル世界のように肉体の質量を持たない精神体としての生命体の世界だと解釈しています。これは奇しくも海馬の開発したデュエルリンクスのカードデータを脳内に出力して可視化させるネットワークシステムと酷似しています。「十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」というアーサー・C・クラークの言葉通り、アプローチの方法が違うだけで目指す所が似通っているというのはオカルトを否定する海馬にとっては皮肉な話でしょう。そしてこのシャーディーの思想を継承するプラナという肉体を持たずして精神体を移動させる能力を持つ人々は現代におけるSNSの延長線上にあると考えられています。そして藍神というキャラクターを通して自分にとって都合の良い存在の利益のみを優先させる排他的な思想を持つ、ある種反知性主義とも言える思想の強化を映そうとしたと言えるでしょう。個人的には同様の事が遊戯王ZEXALにおける主人公、九十九遊馬一派の描写から感じ取られたのは興味深い話ですが…

 

このシャーディーの肉体を捨てて身体ありきで構築されていた「人間」という概念を超克しようという考え方は藍神の使用デッキのテーマである【方界】が仏教用語に於ける方角を意味する事から事事無碍という全ての事物が相互に融合した世界の在り方から着想を得たのかも知れません。ちなみに現行作である遊戯王VRAINSにおけるボーマンやライトニングも類似した考えを持っています。

 

Kaiser(カイザー) 硬式 テニス ラケット KW-929 ケース付 練習用

Kaiser(カイザー) 硬式 テニス ラケット KW-929 ケース付 練習用

 

 

感想

 ここからは作品としての感想に移ります。デュエルについては地面からオベリスク巨神兵をドローする海馬や特にデュエル進行に影響を与えなかった次元領域決闘など頭を抱えたくなるものが多かったです。オベリスクの件については高橋和希氏がアニメをちゃんと観ている事を取入れたかったのかもしれませんが、デッキに入っていないカードを平然と使う姿は極論を言うとバンデット・キースのカード摩り替えと大差ないと感じられました。ですがカードを伏せる枚数をしっかり見せて、口頭で言わずとも視聴者に決闘展開を理解できるようにしていたのは良かったです。

 また演出面に関して述べるならば青眼シリーズや方界モンスターのCG技術はとても面白かったですが、ゼアル好きならニヤリとできる無駄な吹っ飛びや召喚前口上、長すぎる召喚シーンはテンポを悪くさせる要因となり見ていて眠くなった事が残念でした。

全体を通して総括するならば世界観は興味深いものだったのですが海馬の思考ロジックが破綻気味になっていたことが気になった映画だったかな、と思います。

 

 

カルビー 遊戯王チップス うすしお味 22g×24袋

カルビー 遊戯王チップス うすしお味 22g×24袋