廃虚

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遊戯王5D's 僕達はまだ、そのスピードに置いていかれている

 

 

デュエルリンクスのアップデートにより、とうとう遊戯王5D'sのメンバーが参戦することになりました。この作品は放送開始から十年が過ぎた今でも人気が高い作品で、私も遊戯王アニメシリーズの中では1、2番を争う程好きな作品です。

 

しかし。

 

 この作品は遊戯王シリーズに大きな変革をもたらしましたが、それと同時に多大な負債も残していったように感じられます。ここからは、5D'sという作品の功罪について考えていきましょう。

 

 良かった点から考えていきます。私が思うに、この作品の良かったところは、FC(フォーチュンカップ)編までの、キャラクター達のデュエルやカードに懸ける真摯な思いがあっさりしながらも、丁寧に描かれていた所です。

 2人のキャラクターを例を挙げてみましょう。まずはこの作品の主人公である不動遊星です。

 

彼は、自分のエースモンスターであるスターダスト・ドラゴンとサテライトの仲間たち皆で作ったD.ホイールを親友だったジャック・アトラスから取り戻す為にネオドミノシティに向かい、ジャックとデュエルを行いますが形式的な決着がつかず、収容所に送られます。そこで出会った矢薙というお爺さんにカードが「クズカード」と言われ、踏まれようとしたときの遊星の発言が今でも印象に残っています。

 

「デュエルはカードに命を吹き込む。その命を吹き込むのがデュエリストの役目だ」

「踏まれたカードが痛みを感じるなら、勝利して喜びを与えるのもデュエリストの役目だ」

 遊星は武藤遊戯遊城十代のように、カードの声を聞く能力を持っているわけではありません。しかしだからこそ、カードの持つ可能性を信じ、カードに対して真摯に向き合った上で自分らしい「王道」を持っている不動遊星という男が、私の心に峻烈な印象を残したのです。

 

 次は、ジャック・アトラスについてです。彼は遊星の親友でしたが、サテライトを離れシティのキングとして君臨していました。その時の発言で私が特に印象に残っているのが

 

 

「これがデュエルだと…? ただ運が良かっただけではないか! この程度ではデュエルなどとは呼べはしない!」

 

この発言は、相手が大量展開を繰り広げ、追い込まれた後に発した台詞です。キング・ジャックアトラスは俗に言う「御約束」である「丁度良い時に」「丁度良いカードを引いて」勝利する陳腐さ、温さ、曖昧さを認めない。初期の彼のデュエルは圧倒的な威力、実力を示すためにあらゆる技を使うまさに「絶対王者」と呼ぶに相応しい存在だったのです。それだけに、彼の後半の堕落ぶりには目も当てられない思いでしたが…

 

このように語れば尽きないのですが、5D'sが残していった負債もしっかり考えます。

 

負債

5D'sの残した負債や欠点は2つあります。

 

一つ目は、後のシリーズのデュエル構成のテンプレ化現象をもたらした事です。勿論これは、作品事態に責任が有るのでは無く、このスタイルを過剰に称賛し過ぎた私達にも責任の一端があります。

作られたテンプレについて話します。これはankさんが仰った事を参考にさせて頂いているのですが、その内容は

  1. 下級モンスターを並べて小競合い
  2. 並べたモンスターを素材にEXデッキからモンスターを互いに召喚する

    3. 2で出したモンスターを魔法や罠でひたすら守る

 

という物です。ankさんはこれをエースプロレスと呼んでいました。これは良くできた型では有るのですが、これに頼りすぎたせいで後のシリーズでのデュエル内容の陳腐さを招く事になったのです…(はいホーはいホー、ストームアクセス)

 

 2つ目は、5D'sの後半が大流行してしまい、製作スタッフがクリティカルに視聴者に受け続ける術を知ってしまった事です。

 5D'sの後半は、カードの扱いの雑さ、不動遊星英雄伝説や諸々のキャラクターの脳髄レベルでのキャラ改変等があり、アンドレ戦やロットン戦、チーム太陽等素晴らしい勝負もありましたが酷い出来でした。しかし大衆受けに迎合した展開はSNSニコニコ動画の登場もあり、それはそれは盛り上がりました。まさにシンクロで星の数が上昇していくように。

 その結果、製作スタッフは「メイン視聴層はストーリーを求めている。ここに力を入れればデュエルは多少雑になっても問題無い」と思うようになってしまったのでは無いでしょうか。

 重ねて言いますが販促アニメでカードゲームを雑に扱うなど言語道断です。「ストーリーがあればデュエルはどうでも良い」等と言うならホットドッグを食べ過ぎて寝込んでしまえば良い。

 

総評

ここまで述べてきた事を纏めてみると、有ることが浮かんできます。

どうも私達は、5D'sという作品の成功に浮かれ、今もあの熱から冷めていないと。

最初に言った通りあれからもう10年です。私達は5D'sスタイルから離れ、停滞という安寧から離れる為に世の中に沢山ある素晴らしい作品にアクセスする事で、自分の感性という名の感度を高める事をしていくべきではないでしょうか。

 

https://ballangel.hatenadiary.jp/entry/2018/08/28/173713